世界と戦えること示した西野ジャパン W杯ベルギー戦は敗戦も歴代ベストゲーム
サッカー日本代表は2日、FIFAワールドカップ・ロシア大会のラウンド16・ベルギー代表戦に2−3で敗戦。2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たすも、目標のベスト8入りは逃した。
しかし優勝候補のベルギーを相手に2点を先行する大健闘を見せ、実力ではるかに劣る日本であっても組織力で十分に戦えることを証明するゲームとなった。
■前半はパーフェクトだった
ベルギー戦には、グループリーグ初戦および2戦目と同じスタメンで臨んだ日本。ポーランド戦で主力を休ませ、ベストメンバーをベストコンディションに保ったのは、紛れもなく西野朗監督の名采配だった。
しかし相手はFIFAランキング3位のベルギー。いくら日本がベストを尽くしたところで、圧倒的な地力の差があることは歴然だ。ロメロ・ルカク(マンチェスターU/イングランド)を筆頭に、スーパースターがずらりと並ぶ。
そんな強敵と対峙するに当たっては、試合前の展望記事でも触れたように「集中力の高い守備を90分続ける」ことが最も重要なポイントだった。
いざ試合が始まってみると、日本はこれを見事にピッチで表現。予想通りベルギーにボールを握られ、自陣でのプレー時間が多くなったが、人数をかけた丁寧な守備で相手に自由を与えなかった。
ルカクを始め、エデン・アザール(チェルシー/イングランド)やケビン・デブライネ(マンチェスターC/イングランド)といった「自由にさせたら一発でやられる」選手たちを、組織的な守備で見事に封じてみせたのだった。
日本はこの集中力を切らすことなく、0−0で前半を終えた。攻撃にも連動性を持たせており、内容としては完璧だったと言っていい。
■アザール「負けてもおかしくなかった」
いい流れで後半に入ると、日本は世界中に驚愕を与えることになる。48分、これまでにも数々のキラーパスで日本の攻撃を演出してきた柴崎岳(ヘタフェ/スペイン)が、センターサークル内から右サイドのスペースへ絶妙なスルーパス。
反応した原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ)が快足を飛ばして相手DFの裏でボールを受けると、迷わず右足を振り抜く。これがゴール左隅へと突き刺さり、日本に待望の先制点をもたらした。W杯の決勝トーナメントで日本が得点を挙げるのは、これが史上初。
さらに52分、相手のクリアボールを拾った香川真司(ドルトムント/ドイツ)から乾貴士(ベティス/スペイン)へパスが渡ると、ペナルティエリア手前の位置でおもむろに右足を一閃。
無回転のボールは、世界トップクラスのゴールキーパーの1人、ティボー・クルトワ(チェルシー/イングランド)が必死で体を伸ばしてもノーチャンスと言える完璧なコースへ飛び、ネットを揺らした。
原口と乾という両翼の選手によるビューティフルゴール2連発で、なんと日本が2点を先行する展開に。これは世界を大いに驚かせ、とくに乾のゴールはスペインで「大空翼のようだ」と大絶賛された。
サッカーの世界では、「3点を取ればほぼ勝てる」と言われている。それほどに得点の入りにくいスポーツで、後半の時間帯での2点リードはかなりの有利だ。アザールも試合後、「負けてもおかしくなかった」と敗戦を覚悟した旨を語っている。