ゲーセン業界の未来奪う「負のスパイラル」 一方で一筋の光明も
先日しらべぇで取材したコロナ禍におけるゲームセンターの苦境。
バタバタと大手ゲーセンが閉店に追いやられる中、とあるゲーセンのオーナーは「ゲーセン業界全体に負のスパイラルが起きている」と吐露する。
■「人が集まる場所」が一転リスクに
緊急事態宣言の効果もあり、全国的にコロナの新規感染者は減少傾向にある。医療従事者を中心にワクチン接種も開始され、少しずつ終息に向けて動き始めているが、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は5日、「おそらく今年の冬までは感染が広がる」と警戒感を露わにするなど、いまだ不透明な状況が続いている。
音ゲーやメダルゲームなどの最新機種を取り揃え、平時は学生やゲームファンで大いに賑わう愛知・名古屋「PORT24八事店」。県内には他に2店舗あり、地元密着型ゲーセンとして愛されている店だ。オーナーの長田さんに話を聞いた。
長田さんはこの1年を振り返り、「本当に激動の1年。ゲーセンのみならず、全ての産業が大きな影響を受け、我々が信じていた、『人が集まって遊ぶ』『オフラインの場』という魅力が一転し、リスクになるとは、予想もしていませんでした」と本音を明かす。
関連記事:メーカー、団体、政府…誰も助けてくれない「地方ゲームセンター」の実情
■「先細り」の恐怖
ゲーセンは今も昔もゲームファン同士が集まる“交流の場”だが、そのトレンドがコロナのせいで途絶えた。
この状況下にも関わらず売上は「概ね前年比60%程度」と持ちこたえたが、「従来だと『人が集まる場所』といわれていた、学生街や駅前などの立地のほうが苦戦が目立ちます」と想定していなかった現象も確認されたという。
近年は80年代、90年代にリリースされたレトロゲーム機が注目を集めることもあるが、ゲーセン業界の将来のためには新機種を導入し、新陳代謝を促すことも必要だ。売上減の影響もありPORT24では筐体の新規購入を「手控える状態」に陥っているともこぼす。
「店舗が筐体を買わなくなることで、メーカーさんも発売を控えて、開発を控えるという、産業全体の悪循環が起きていると思います。特に当店のような小型店は、大会やイベントを定期的に開催し収益を上げてきましたが、この状況下では開催もなかなか出来ず、打撃が大きい。イベントなどの収益を積み重ねて新機種の導入を行ってきた面があるので、結果的に新機種購入もできず、店舗ひいては業界全体が先細りになるのは間違いないです」(長田さん)