富山の小さな町が動画でオンライン帰省のススメ 町長は「離れていても家族」
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は5日夕方、内閣府で記者会見を開き、今月のお盆の帰省について、高齢者らへの感染リスクがあるため感染対策の徹底など国民に注意を促すよう政府に提言すると発表した。
そんな中、富山県の小さな町の町民らが自ら、オンライン帰省を促す動画を作成し、話題を呼んでいる。しらべぇ取材班は、町役場から詳しく話を聞いた。
■高齢化率が進んでいる町
富山県上市(かみいち)町は、富山県南東部に位置し、県都富山市からは車で30分程度の距離にある、北アルプスの名峰「剱岳」の麓の町。
町の約8割が山間部で水と緑が豊かな環境にあり、町の中心部の半径1km以内に役場、駅、町立総合病院、金融機関、生活に必要な商業施設が揃ったコンパクトな市街地を形成している。人口は約2万人で、65歳以上の高齢化率36.2%で高齢化が進んでいる町でもある。
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■町出身者から動画制作を提案
新型コロナウイルス感染症の影響で、今年の帰省の断念を余儀なくされた出身者が多くいる状況を受け、帰省することはできなくともつながりは絶やさないようにしたいという想いから、今回の動画制作を町出身者側から上市町に提案をし、制作を行うことになったという。
上市町の出身者コミュニティ組織「上市町首都圏同窓会」が、出身者と町民の合同制作チームを立ち上げ、企画・制作。「上市町首都圏同窓会」では2019年9月から交流会の開催などを通して、出身者同士、出身者と町民がつながりを深めてきたそうだ。
制作費と広告費等全てあわせて240万円を町が補助した。
■制作過程の打ち合わせはオンライン
制作過程の打ち合わせをほぼ全てオンライン上で行い、上市町での撮影は町民が、首都圏での撮影は出身者がそれぞれ担当。
制作メンバーからは、「オンラインでつながる事で物理的な距離を越えてコミュニケーションができる」、「これまで関わることのなかった町民、出身者と一緒に何かやれるのが楽しい」。
「リモートでも創作物を作ることができるという実感が湧いた」といった声があがっているという。今後も上市町民と出身者の交流や共同プロジェクトをオンラインも活用しながら推進していく予定とのことだ。