大阪ののれん分け『東京美々卯』全店閉店へ 大阪の『美々卯』サイトも落ちる事態に
大阪を代表する鍋料理のひとつ『うどんすき』を生み出した店として愛される『美々卯』。江戸時代末期からの歴史を誇る名店が、新型コロナで揺れている。
■SNS投稿が話題に
18日深夜、ツイッターに「自分の父親が働いている美々卯がコロナ禍で廃業の危機に」というツイートが投稿され、19日18時現在で1万リツイート以上拡散して注目を集めた。ユーザーのアクセスが集中したためか、美々卯の公式サイトは閲覧できない状態が続いている。
美々卯の創業は江戸時代末期、堺の魚問屋に始まり、料亭旅館『耳卯楼』(現・美々卯堺店)の末っ子だった薩摩平太郎氏が、戎橋北詰に大衆蕎麦屋を始めたのが1925年(大正14年)。その後、1933年頃に今の形に近いうどんすきが生まれたとされる。
しらべぇ取材班は、大阪の美々卯関係者に話を聞いた。
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■のれん分けした東京法人が精算
美々卯は、東京では京橋店のほか、新宿、渋谷西武、池袋西武などに出店している。これらの店は大阪からの「のれん分け」で、創業家ではなく東京美々卯の社員が経営陣に就任してきた。
しかし、新型肺炎で業績が落ち込む中、東京の経営陣が協議し「営業の継続が困難」「手元資金が充分ある間に閉店したい」との申し出を受けて、大阪の本社サイドがやむなく了承したという。今月20日をもって東京美々卯の6店舗は全店閉店となる。
東京美々卯も美々卯グループ全体も、無借金経営を続けており、大阪では本社ビル新築に向けて手元資金を手厚く用意していたこともあって、現時点で外部から資金調達の必要はない、とのこと。
■東京人には悲しいが…
東京で美々卯が食べられなくなってしまうのは残念だが、美々卯グループ全体の話ではないので、まずは安心してほしい。ただ、200年を超える老舗でも東京法人を精算せざるを得ないほど、新型コロナウイルスの経済・社会的な影響が甚大だということだ。
美々卯ではオンライン通販も行っており、うどんすきや個食うどん、秘伝の出汁などを購入することも可能。ステイホームを楽しむひとつとして、応援しながら味わうのもよさそうだ。