東京・港区の酒販店が77%アルコールを共同開発 「今、自分たち酒屋ができることを」
新型コロナウイルスの国内感染者が○人を超え、政府による7都府県への緊急事態宣言だけでなく、各自治体が独自に緊急事態を宣言している昨今。
繁華街やビジネス街を出歩く人は減少したものの、食材や日用品の買い出し、運動不足解消のための散歩など、街中で人の姿を見かけることは少なくない。こうした際に欠かせないのが、マスクと手指の消毒液や除菌シートだ。
■必要なものほど売り切れが続く
しかし、今いちばん手に入らないものが、もっとも必要な不織布マスクとアルコール消毒液だろう。ドラッグストアには朝から長蛇の列ができるが、それでも買える人は限られている。
失笑を買った『アベノマスク』政策は、需給が逼迫している不織布マスクを医療関係者に優先的に回し、一般市民には布マスクの使用を求めるものだった。
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■アルコール消毒液でも各企業に動き
消毒用アルコールについても、さまざまな動きが発表されている。花王は、9日、アルコール消毒液の生産を昨年比20倍にすると発表。サントリーもウイスキーなどの蒸留技術を活かして消毒液の生産を計画していることが報じられた。
また、高知県で日本酒・焼酎などを醸している菊水酒造は、消毒液と同じアルコール濃度77%のスピリッツを生産。インターネット通販も行っている。
そんな中、東京・西麻布にある街の小さなお酒屋さんが、同じくアルコール度数77%のスピリッツを新潟県の酒造メーカーと共同開発。Facebookなどで注目を集めている。しらべぇ取材班は、長野屋の代表を務める林憲一郎さんに話を聞いた。
■2月半ばから開発
長野屋は、西麻布で115年続く老舗の酒販店。場所柄、飲食店向けの取引が9割を占める。林さんが、この商品開発を思い立ったのは、2月の半ば。「ちょうどマスクが売り切れ始めた頃で、取引先の飲食店さんに聞いたところ、『消毒液が足りない』という声があった」という。
林さんは、オリジナルビールやウイスキーの開発などで付き合いがあった新潟県の酒造メーカー・新潟麦酒に相談。この会社はビールのほか、ウイスキーの製造でも海外で高い評価を得ている。また、お酒だけでなく消毒液をつくる技術も持っていた。
ところが、2月後半に完成したこのスピリッツは、最初はほとんど売れなかったそう。「700mlで1,850円は正直高い。およそ500円あまりの酒税が入ってしまうし、手作りのため大量生産で安くすることも難しい」と林さん。
赤字では製造を続けることができないのでギリギリの価格設定だったが、最初は取引のある一部の飲食店に無料で配布も行っていたという。