野党の組み替え要求に応じず予算案が衆院通過 コロナ対策費は国民一人あたり127円
28日、衆議院本会議において、政府が提出した来年度予算案が自民・公明の賛成多数によって可決された。
それに先立って、日本共産党と立憲民主党や国民民主党などの共同会派は28日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、2020年度予算案の組み替え案を共同提出していた。
■野党提案の中身は
野党の予算組み替え案は、マイナンバーポイント還元事業(2478億円)、カジノ管理委員会運営費(38億円)を削除し、新型コロナウイルス感染症対策費に振り向けるよう求めるものだ。
20年度予算案には、新型コロナウイルス感染の対策費が計上されていない一方で、疑惑まみれのカジノを中核とするIR(統合型リゾート施設)事業や、効果が不確かなマイナンバーポイント還元事業などが計上されている。
野党の予算組み替え案は、同日の衆院予算委員会で自民・公明・日本維新の会などの反対多数で否決された。
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■安住氏「危機感が薄い」
予算成立後、立憲民主党の安住淳国対委員長は記者の質問に応じた。
安倍政権に対する評価を問われた安住氏は、「桜を見る会、検事長の定年延長問題、さらにカジノの国民が反対する中での強硬路線をただしてきたが、残念ながら一顧だにせず、突っ走ってる姿は残念でならない」と回答。
「国民の声を聞いてやってもらいたい」と述べた上で、コロナ対策について「政府の危機感が薄かったと思う。厚労省頼みで他の役所にしてみると他人事のような感じで、もう少し総理がリーダーシップをとり、初期の段階から対応していれば後手に回ることはなかったのではないか」と批判した。
■「課題対応した予算になっていない」
国民民主党の玉木雄一郎代表は、「税金の使い方を間違った予算。今、国を上げて取り組まなければいけないのが新型コロナウイルス対策だが、100兆円を超える規模にもかかわらず、その対策予算が1円も含まれていない。国民の求める喫緊の課題に対して対応する予算になっていない」と一刀両断。
さらに、「きわめて楽観的な経済見通し、税収にもとづいてつくられた予算だ。明らかに日本経済は、不況の入り口に入っている。国民生活を守るために消費の縮小を抑えるための経済対策が必要であるにもかかわらず、そうした予算も入っていない」と、組み替え動議を否決した与党を痛烈に批判した。
■コロナ対策費は国民一人あたり127円
安倍首相は、2019年度予算の予備費103億円を含めた総額153億円の財政措置で「必要な対策を実行していくことが可能」としている。
しかし、ボランティアで阪神・淡路大震災、県知事として隣県の中越地震など有事に的確で住民目線の対応をしてきた田中康夫氏は、衆院通過した予算案と新型コロナ対策費の少なさについて、次のようにコメントした。
「新型コロナウイルスCOVID-19の対策費は、国民一人当たり127円でペットボトル以下。香港は5.3万円台、台湾は9,565円、韓国は3,660円。週明けに閣議決定。日本国、金目の問題じゃない?」
いやはや、国民一人あたり127円の対策費とはこれこそスキャンダルではないだろうか。