保育士ら18人が一斉退職騒動 市には匿名通報もあったことが判明
騒動が起きているのは、浜松市の認可保育園である「メロディー保育園」。しらべぇ取材班は、その実態を探るべく、関係各所を取材した。
■「人格を否定する言動」
市によると今月4日、弁護士を通じて、保育士や栄養士など18人が一斉に今月28日付けの退職届を提出したと連絡があったという。同園には、1日現在、0~6歳の142人が在籍し、29人の保育士が働いている。
保育士らが市や保護者に提出した書面では、退職の理由を「以前から園長、専務からパワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントを受けていた」と説明。
具体的には、ブログ掲載のため、写真映えするような保育をしろと要求されたり、妊娠中の保育士が欠勤した時に「つわりは病気じゃない」などと批判されたりしたとのこと。
「日常的に人格を否定する数々の言動、常に圧力をかけられ監視されている恐怖に極度のストレスを感じた」などと訴えている。
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■園への報告を拒否
市の幼児教育保育課によると、10月初めに保育士から匿名でハラスメントの通報があった。その時点では労使間の対立であるため、専門機関や労基署に相談して下さいとアドバイスを送った。園にもこの件を伝えたいと市が申し出たところ、「それは止めて下さい」と拒否されたという。
その後、10月終わり頃に別の職員から匿名で、「保育士が大量に退職するかも知れない」と連絡が入り、市は「子供たちのことを第一に考えて、再考してほしい」と伝えた。
この際にも、市が園にこの件を伝えることを拒否され、市はこの時点で、専門機関に相談していることと職員たちの意思が固いと判断し、園に伝えることを見送った。
12月4日には、「11日に退職届を出す予定」との連絡。すぐに園に連絡をさせて下さいと申し出たが、これも断られた。市は、退職の時期が早まることと騒ぎになってしまうことを懸念し、園への報告を三度見送った。
園への報告を職員が拒否したことについて、市の担当者は「通報者が誰かを特定されるのを恐れたのかも知れない」と話す。