台風19号で八ッ場ダムに称賛の嵐 「治水事業に無駄などない」との声も
台風19号による河川の氾濫が相次ぐ中、国が来春の運用開始を目指し、10月1日に貯水試験を始めたばかりの八ッ場(やんば)ダムに称賛の声があがっている。この話題はツイッターでも一時トレンド入りした。
■町を二分
八ッ場ダムは、利根川の氾濫による洪水被害を防ぐとともに、首都圏の人たちの生活用水や工業用水を確保するため、1952年に建設省(現在の国土交通省)が、群馬県長野原町と東吾妻町の町境に計画したダム。
計画が発表された当初、「首都圏の人たちのために故郷が水没する」ことになるため、地元住民はダム建設に強く反対した。その後、賛成派と反対派に分かれ、町を二分するような深刻な問題となり、地元住民は大変つらい思いをすることに。
1980年に群馬県が生活再建案を、1990年には建設省と群馬県が地域居住計画を提示することで、地元住民はダムの建設に向けた話し合いを始めることになった。
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■構想から40年
住民の苦渋の選択の末、1992年に長野原町で、1995年には吾妻町(現東吾妻町)で「八ッ場ダム建設に係る基本協定書」が締結され、ダム建設事業が動き始めたが、このとき既にダム建設構想から、40年以上が経っていた。
2009年9月17日、鳩山内閣の下、前原国土交通大臣は、突然八ッ場ダムの建設中止を明言。これは、地元住民の意見、関係市町村、共同事業者の1都5県の意見を聞くことなく、国が一方的に判断したものだった。
国は、八ッ場ダムの建設中止を発表後、一切の予断を持たずに再検証を実施することを表明し、有識者の意見を十分に聞き、最終的には、その検証結果に沿って国土交通大臣が適切に判断することとした。