「支払い義務以上の金額」を説明なしに請求 奨学金の取り立て方法に疑問の声
大学生や大学院生の半分が受給しているとされる奨学金。連帯保証人とは別に立てる保証人には未返還額の半分しか支払いの義務はないが、奨学金を管理する日本学生支援機構は、その旨を通知せずに保証人に「全額の支払い請求」をしてきたことが分かった。
■膨大な手間を理由に正しい通知せず
本人が返済できなければ連帯保証人に請求がいき、それでも支払えなければ保証人という本人から4親等以内の親族に返済が求められる。
しかし、連帯保証人と保証人という2人の保証人がいる以上、たとえ連帯保証人が支払えなかったとしても、保証人の返還義務は法的には未返還額の半分までしかない。日本学生支援機構はこのことを保証人に知らせずに未返還額の全額を保証人に請求してきた。
報道によると、その理由について理事長は「奨学金を貸与する際、人的保証を選ぶのは毎年、約25万人。全員に伝えるには膨大な事務作業がいる」と答えたという。通知の紙に1文添えれば済むように思えるが回収方法には問題はなかったのだろうか。
■半額までだと知っていれば減額に
保証人の返還義務が半分までのはずだと保証人から指摘があった場合には応じていたという。当然借りたお金を返さない本人に問題があるのは間違いないが、ネット上では保証人が不利になるこの回収方法には批判の声が多い。
「酷すぎでびびるわ。 奨学金の保証人は本来、未返還額の半分しか支払う義務がない。この法律の知識があれば半額にし、知らなければ全額を回収する。自ら進んでは伝えない」
「自分は完済したが、取り立てがひどいことは知っている。というか取り立ててくるのは支援機構から委託された事情など知るかのただの民間の借金取り立て会社で、もはや支援も血も涙もないのだ」
「ていの良い金貸ローンに近いな! 保証人と連帯保証人を立て、返済方法で伝えるべき責任の範囲、その説明について、事前に伝える事は膨大な手間がかかるからと言い訳。責任の範囲を超えた返済を何の説明もなくさせている実態、本来の学生に支援する趣旨はどこへ」
■借金を抱える人数は少なくない
しらべぇ編集部が全国20〜60代の男女1,365名に「借金があるか」について調査したところ、全体の2割弱が「ある」と回答。決して少ない割合ではない。
今回の奨学金の問題では、保証人への取り立て方法が問題となっているが、奨学金の借り方には保証人をたてずに保証機関を使うものもある。
家族や親族に迷惑をできるだけかけたくないという気持ちがあるなら、そちらを利用するという方法もある。
自分が借りたお金でもないものを返済するために、親族に苦労させるという状況を望むものはいないはず。人的保証制度については見直す時期に来ているといえるだろう。