「出てくる」という言葉の不思議について 喉から・棚から・藪から出てくるのは…
店舗などで扉に「出口専用」と書いてあるのを見かけると、「お尻の穴にも書きたい」と思う俳優/ハイパーメディアフリーター黒田勇樹です。汚いから、座薬以外は入れちゃダメだぞ!
このコラムは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べる「妄想的」な語源しらべぇです。
慣用句やことわざの世界でも、じつに様々なものが色々なところから、出たり入ったりします。間違ったところから間違ったものを、出したり入れたりしていないか。今回は言葉の世界の「出入り」をおさらいしてみたいと思います。
■喉から?
出てくるのは、「手」ですね。正解です。物事を欲する度合いを表すために渇望する喉と、求め掴む手を使った、実に身体感覚に沿った、直感的でわかりやすい、王道の慣用句です。
間違っても「足」や「屁」を出してはいけません。新種の病気です。
■棚から? 藪から? 瓢箪から?
棚から出てくるのは「ぼたもち」、藪をつつくと出てくるのは「蛇」、瓢箪から出てくるのは「駒」です。
それぞれ「ぼたもち」は、思いもよらない幸運を、「蛇」は、余計なことをして招くトラブルを、「駒」は、あり得ないことや冗談で言ったことが現実に起こることを表します。
藪をつついてぼたもちが出てきても絶対に食べないほうがいいですし、ひょうたんや棚から蛇が出てきてしまうと、それはシャーロック・ホームズかコナン君の出番なので、気を付けて下さい。
■虎穴? オケツ?
虎児を得るために入るのは、そう、虎穴です。危険を冒さなければ、大きな成功も手に入らないという意味のことわざです。
虎穴に入らずんば、虎児を得ず。響きもよく、何とも勇ましい、有益なことわざですが、最後にこれをモジって大切なことをお知らせしたいと思います。
オケツに入れちゃうと、切れ痔になる。汚いから、座薬以外は入れちゃダメだぞ(2回目)!